ビックサイト東京の健康&美容系の展示会に弾丸でいってきました。
普段見る事のない系統の展示ブースも多くて楽しめましたが、30分ほどの無料セミナーが開催されていたので立見で傍観していたら、とても面白い内容だったので、メモしておこうと思いました。
そのセミナーをしていた方はSメソッドとか、なんやらで、フィットネスの展示会とかでも最近はブースだしていたり、フィットネス系のフリーペーパーでも見る顔です。
正しい解剖学理論を学べるという宣伝でスクールを開催しているトレーナーさんです。彼自身がどこで誰から習ったからはよく分かりませんが、パーソナルトレーナーの養成スクールの生徒募集広告でよく見る顔なので覗いてしまいました。
こういったセミナーでプレゼン慣れしているのでしょう。興味深い話と自分のスクールの宣伝を30分でとても意欲的に発表していました。
ヨガ的なプレゼンアプローチは、【共感】や【気づき】をもたらすこともテーマにあるので、マインドに響くような音質やトーンで話すことが多いのですが、さすが、フィットネス系のプレゼンアプローチ、【威圧】【全否定】【恐怖】などの手法で圧巻してゆきます。使う言葉や表現が過激でした。
「こんなことを言うパーソナルトレーナーがいたら1時間のパーソナルに1円も払う価値がない!」
「こんな表現をするピラティス・ヨガインストラクターがいたら二度とレッスンを受けない方がいい!!」
「こんな間違ったやり方をしていたら、身体を壊してしまいます。お金払って身体を壊すなんて馬鹿のすることです!」
などなど。。。
ビジネスや教育業界でも、そこでは他者を出し抜く為に様々な手法・商法があります。
ここで使われていたのは「恐怖商法」と「ネガティブ・レッテル貼り商法」でした。
あなたのやり方では、クライアントの身体を壊してしまう!という恐怖、何も知らずに身体を扱っていいのだろうかという恐怖、何も知らない恐怖を煽って教材を売りつける、悪魔のマーケティング手法です。
さらに、こういうインストラクターは最悪です!価値がない人ばかりです!正しい知識を学んでない人ばかりです!と、他者を駄目である存在だとネガティブ・レッテルを貼って蔑めて自分を向上させる「魔法(魔のマーケティング手法)」です。
以前に、あるフィットネス系の講習を受けた時に、相手に対して「もっと声を張り上げたり、早口で言ったりして、威圧的に話さないといけない!」と言われたことがありました。
これもテクニックなんだということです。
自分は大学・大学院とビジネスを研究していたマーケティングの専門家なので、数々の商法・手法のメリットとデメリットを理解していますし、そうする意味も分かりますが、それよりデメリットの少ない良い手法を選びたいので、その提案は自分なりに却下してしまいました。
相手に下に見られたら話を聴いてもらえないし、出会ってすぐの人に対等に話をするのも難しいし、結局、上から威圧的にいかないとコミュニケーションをすすめられない人もいるのは理解できます。
だから、その手法を使わざるを得ない方々には同情してしまいます。
そこで、よく「権威商法」が使われます。
東京大学の〜教授の研究による〜とか、ハーバード大学の〜という研究所による〜などのエビデンス手法で相手を納得させる権威商法です。
自分はこの手法の方がまだましだと思っているのですが、自分自身を凄い人と見せれないのがデメリットです。
指導においては、指導者は権威者になる必要はなくて「学ぶ者」と「知識と経験」を純粋に繋ぐ者である方が良いと思うのですが、この日の場合は彼の学校自体の宣伝勧誘も兼ねているので、効果的じゃないのも理解できます。
このように書くと、この方を批判しているように聞こえてしまうかもしれないのですが、まったく違います。
なぜなら、講習の内容は全て正しいことを言っていて、この方の言う内容は自分としては当たり前なことだからです。
自分の講義でも世間一般の普通な考え方として15年に渡って彼と同じようなことを伝えてきたのですが、世間のインストラクターを全否定するようにもとれる内容だと知って逆に驚きました。
解剖学やヨガ哲学などにどっぷり浸かっていると、当たり前になってしまった考えが世間一般の考え方とは異なることは度々あります。
特にスピリチュアル系には漫画っぽいセールス文句の影響で多くの勘違いもあり、というより一般的に想像できてしまうような答えは大体間違っているのだけど、それでも、それでも全否定するのは不健全だと思うのです。
このような間違いを指摘する時は、全否定してしまうと、マインドは萎縮して理解の道を塞いでしまいます。
もう1つ別のアプローチを試してもらって、納得してもらった上で、いままでのやり方(実は間違っているやり方)から変更してもらう事が重要なのではないでしょうか。
あのような入塾を目的したセミナーだと、今までの考え方に対する嫌悪感を煽らないと勧誘とならないので仕方がないと思うようにします。
そういえば、同じことが、ヨガの世界でもあったなぁ、と。アシュタンガ・ヴィンサヤヨガの一部分を全否定しておいて自分のスタイルに勧誘する先生も過去にいた気がします。
自分が知らないということに焦らないことが大事です。ちょっとした勘違いとか認識の違いだったりすることもあるし、自分の思いもしない考え方がそこにあるならば、最高に喜ぶことだと思います。そんな最高の瞬間に焦ってしまわずに、全身でもってその知識を震えるほど感じるのです。
この2つのテーブルはどちらが長いでしょうか?
定規でちゃんと測ると、同じ長さです。
視覚が脳を錯覚させる研究や、行動経済学で有名なダン・アリエリーは、視覚の錯覚と同じように決断を下す際に認知錯覚に陥る人は多いと言っています。
最初から錯覚をするものだと開き直って、錯覚を楽しんだらよいのです。
また、展示会などにいく楽しみは、たまにズゴい面白い考え方や技術などに出会すことです。それは商品そのものだったり、商品の販売方法だったり、紹介の仕方だったり・・・
この眼に見えないコミュニケーションを観察しにいくのが展示会の楽しさです。
コメントを残す