【ヨーガの歴史と現在 過去100年の展開】という講座タイトルで、
ヨガスートラ講座でおなじみの伊藤雅之先生による『出版記念講演会』がMySOUL8にて行われました。
伊藤雅之による近著『現代スピリチュアリティ文化論ーーヨーガ、マインドフルネスからポジティブ心理学まで』(明石書店、2021年)のややこしい部分を読み易くする解説や、その背景や今後の興味のあるテーマについてお話してもらいました。
2022年2月… 場所は、MySOUL8 Yoga School 【栄ミナミスタジオ】
3連休の最終日、
20名近いメンバーが参加して、
みな真剣に話を聴きます。
大学の授業でも使用していくことになるという
この本には情報量がどっさり。
今までMySOUL8 Yoga School にて開催してきた、
「ヨーガスートラ短期集中講座」15時間で
登場してきた話が詳しくより詳細にまとめてあります。
伊藤先生が社会学のフィールドワークとして、
実体験として見て感じて経験してきたことを、
現代のカルチャーなどの推移と共に紹介していて、
膨大な情報がしっかりと、まとまっています。
自分も書籍を書き上げた経験があるので、
ついつい製作者側からの目線で本の構成を
見てしまうのですが、大量に登場する人名や学問、
そして専門用語をバランス良く構成して
本を完成させるのは大変だろうなーと、
純粋に感じました。
私の書籍『ハタ照らすヨーガ』は、
なるべく専門用語を減らして語り調で読む流れを重視したものなので、
構成がまったく違うとはいえ、一文一文の背景に何百冊の専門書からの知識があるので、
伝え方の表現を何度も何度も変えたのを思い出してしまいました。
書籍を書いた本人から解説をしていただき、
さらに、色々と質問にも応じてもらえるという
何とも贅沢な企画!!
ヨガやスピリチュアルなムーブメントが、
社会でどのように変化してきたのか?
この100年間の人々の生活様式の変化は、
ヨガやスピリチュアルという概念も変えていき、
それが未来に向かってどうなって行くのか?
伊藤先生のような社会学の先生達から学んでこれたので、
自分の中では明確なビジョンが見えているのですが、
さらに現代の100年間を振り返ることで、
未来のイメージがより鮮明になっていくのを感じました。
話の中で面白かったのが、
真面目なレジメの中に、
「クリスマス、キムチ、ご当地グルメなど、
昔から伝統的にあるようなものでも、
後から勝手に創作されているのだ」
ということが紹介されていたことでした。
神聖なクリスマスは…
キリスト教はローマ帝国の時代、313年のミラノ勅令によって、ローマ帝国の公認宗教となり、
その後帝国の改革と連動して教会が利用され、392年テオドシウス帝の時代に異教が全面的に禁止された時から、
キリスト教はローマの国教となり、ローマ全土に広がっていきます。
「クリスマス」もその一つなのです。
この日はかつてローマで権威を振るったインド/イラン辺りを起源としたと言われる
ミトラス教という太陽神信仰の宗教の最大の祭日でした。
正確には、日中の長さが最も短くなる「冬至」、その後、
日の長さが長くなり始める日は太陽神ミトラスの復活の日としてお祝いされていました。
MySOUL8 Yoga School でも、冬至の時期はキャンドルナイトイベントを行っていますが、
基本は同じコンセプトです。
ローマは、この太陽神ミトラスの復活を神の子イエスの復活になぞらえて、
この日をキリストの誕生として祝う日ことにすり替えて、
これまでミトラス教を信じていた人々のキリスト教化・融合を進めたわけです。
キリストの誕生日というのも伝統ではないし、12月の25日という固定の日も伝統ではありません。
何が言いたかったかというと、
ハタヨガのさまざまなポーズも伝統でもスピリチュアルでもないということでしょうか
確かに、ポーズの練習を神聖なものにしたい人や、
身体が柔らかいことや美しさを売りものにするような神聖とは逆にいる人々もいます。
しかし、本質はポーズの練習の奥にしっかりとあると自分は思いますし、
浅はかで愚かな者達は、その奥までいけるはずはないので可哀想ですが仕方がありません。
クリスマスもキリストの誕生日を祝うという浅いイベントでは無かったし、
現代はコカコーラの服を着たサンタが欲望を満たすプレゼントを持ってくるという薄っぺらい物語りになっています。
冬至の日という、太陽と闇とのバランスが変わる日を意識して、
その日を大切にしてきた人々がいることを忘れてはいけません。
現代でのプレゼント交換するような俗な日になっていても、
季節の流れが変わり、意識に変化が訪れるという「ギフト」はそこにあります。
こういった講義を受けることは、自分の中にある知識に刺激を与え、
思考を活性化(ヨガ)してくれるので、数週間経っても色々と考えることになります。
仏像崇拝やイエス・キリスト崇拝など2千年続いた1神教のスタイルは終わりを告げていると感じるのです。
一人一人の多様性を尊重して、すべての息とし生きるものの中に自然の一部としての神聖な神性(仏性)を感じる新タントラ的なヨガ時代の到来はすぐそこまできているのを感じました。
そのための道具がヨガのポーズや呼吸の技であり、
それらをやたら神聖とする気にはなれませんが、
身体に備わった機能や存在は神秘といえます。
新タントラといっているのも、
自分自身や大自然の神秘な部分を神性と扱うところなだけで、
神々のイメージや男性性・女性性などを崇めるわけではありません。
まだまだ解明されてないことも多いですが、
メタファー(暗示)にてあらわさなくとも科学が多くを解明してくれているのです。
惑星間に働く壮大なる質量のエネルギーの法則から、
微細なる細胞から分子、電子、いわゆる素粒子までのエネルギーの働きを古代の人々はプラーナと総称してきましたが、それらをサマーディ(理解)して超越する段階まで来ている人々と、
乱雑な迷い混乱したマインドの働きの奴隷として生きる人々の、
二極化に世界は進みつつあると今回も確信しました。
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